君 が 隣 に いる こと が いつか 当たり前 に なっ て さ。 君が隣にいることいつか当たり前になってさ created by 落合渉

ストリーミング時代も変わらない“胸に刺さる言葉・歌詞” の強さ― 落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」のヒット

君 が 隣 に いる こと が いつか 当たり前 に なっ て さ

落合渉 君が隣にいることいつか当たり前になってさ(Music Video) 作詞・作曲:落合渉 出演:八澤侑里香 編曲:中村純一 監督:落合渉 「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」収録の最新アルバム「ノンフィクション 」配信開始! 各サイトからのダウンロードはこちら。 CDのご購入・その他お問い合わせは各SNSのメッセージ又は、お問い合わせメール(ochiaiwataru. info gmail. com)まで。 浴衣と花火(Music Video ver. ticket gmail. ノンフィクション M2. 東京 M3. ほしいもの M4. 君が隣にいることいつか当たり前になってさ M5. 一人暮らし M6. 傘 M7. 五月の手紙 M8. SMILE M9. 生きているということ 3,000(Tax in) 【落合渉オフィシャルHP】.

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君 が 隣 に いる こと が いつか 当たり前 に なっ て さ

2週間の長期遠征。 バレー漬けのスケジュールの中、ポッカリと空いた15日13:00~19:30自由時間の文字。 「先生、この自由時間て何ですか?」 配られたスケジュール表を見ながら、主将の澤村が皆の疑問を代表して顧問の武田に問う。 「これはね、体育館のメンテナンスがどうしても遠征期間中に重なってしまうらしくて、午後からは皆の息抜きも兼ねて自由時間にしようって猫又先生の計らいだよ。 」 「それって…学校の外に出ても良いってことですか?」 今度は副キャプテンの菅原が尋ねる。 「そーだね。 帰宅時間まで戻ってきてくれれば、東京観光に行ってきてくれて大丈夫だよ。 」 ワァーッと、一同の歓声が上がる。 バレーの練習はもちろんしたいが、東京観光をしたことのあるものは少なく、楽しみが2倍に増えた。 山口も東京は前回のGW合宿が初めてであったため、東京での自由時間とういう言葉はとても魅力的であった。 しかも合宿は幼馴染の月島も一緒だ。 バレーの練習がメインである事は分かっているが、月島と東京観光はどこへ行こうか、早速帰ったら下調べをしなくては、山口はワクワクに目を輝かせていた。 「ツッキーは東京、この間の合宿以外で行ったことある?」 「いや…ないけど。 」 「そっかー。 俺もなんだ。 一緒に東京観光しようね!行きたいとことかある?俺、色々調べるから。 」 武田の話を聞いてから終始ご機嫌な山口に、軽くため息をつきながら 「あのね、遠征の目的はバレーの練習なんだから。 あんまり遠出して翌日に響くようなプランは立てないでよね。 」 「わかってるよツッキー。 でも楽しみなんだもん。 」 一切隠すことなく自分に向けられる満面の笑みなのに、自分の口から吐いて出るのは、男子高生が「もん」とか言うなとか、はしゃぎ過ぎだとか、そんな言葉ばかり。 山口に抱く特別な想いを悟られたくない気持ちと、捻くれた性格が邪魔をして、本当は自分もとても楽しみだということを素直に伝えられないことに、月島はもどかしさを覚えた。 「おはよーツッキー!! 」 「寝坊したでしょ?」 いつもより、酷く付いた寝ぐせを見れば一目瞭然である。 きっと東京の観光スポットを調べるのに夢中になり過ぎて、夜更かしたと言ったところだろう。 「寝不足で、練習で怪我して遠征行けなくなったら元も子もないんだから。 」 「あれー寝不足もバレてる?さすがツッキー!」 「褒めるとこじゃないでしょ。 僕を自由時間、一人にするつもり?」 「ごめんツッキー!今日はちゃんと寝るね。 」 謝っていても、山口の顔はほころび通しである。 そんな山口を見ていると自分も口元が緩みそうになる。 愛おしさから無意識に伸びてしまった手を、寝ぐせを指摘するふりをして、そっと髪に触れて誤魔化した。 [newpage] 「おーいツッキー!!!今日の自由時間どうするんだ?」 すっかりこの遠征で定着してしまった他校生からのツッキー呼びに、眉をひそめながら振りかえると、音駒の主将黒尾が朝食を受け取る列に並んでいた。 列の後ろには梟谷の主将木兎とセッター赤葦も続いている。 「あの・・・何度もいいますけどツッキーって辞めてもらえませんか?」 「良いじゃねーかツッキー!それより今日の自由時間さー・・・」 と言いながら、手招きに応じて近づくと、梟谷の主将にグッと肩を組まれて 「今日の自由時間、第3体育館組で花火見に行こうぜ!」 と若干抑えた声で誘われた。 「なんで、小声なんですか?っていうか、僕人込みは苦手なんで。 」 「東京はどこに行ったって人込みは避けられないって。 それになヂャーン!ここに優待席のチケットが6枚あるのです。 」 「いや、僕は・・・」 「これなら、揉みくちゃにならなくても花火見れるだろ!」 「木兎さん。 前進んでますよ!」 「じゃぁ、ツッキー後でな!」 「え・・・僕行くなんて言ってないですよ。 」 駄目だ。 聞こえていてない。 既に朝食のメニューを選ぶことに夢中になっているあの人達に、今話しかけても無駄だと判断し、月島は後でちゃんと断ろうと列の最後尾に並んだ。 「おはよーツッキー!」 朝食を持って山口の座る席の前に腰を下ろすと呼んでもいないのに、日向がやかましく追いかけてきた。 「なぁ!月島!!聞いたか?花火大会の優待席の話!!!」 「え?あー・・・さっき聞いたよ。 」 「なに?日向?花火大会って。 」 「うるさい山口。 山口には関係ないから。 」 あ・・・しまった。 山口にはあまり聞かせたくない話題に焦って言葉の選択を間違えた・・・と気付いた時には、山口の表情が暗くなるのが目に見えて分かった。 「あ・・・ごめん。 違くて・・・」 「あのな!今俺ら、自主練で音駒と梟谷の人たちとブロック練してんだけどさ、梟谷の主将がそのメンバーで花火大会に誘ってくれて。 おまけに優待席なんだぜ!」 日向は、梟谷の主将に誘ってもらえた喜びをそのまま山口に伝える。 「へー・・・凄いね。 優待席だなんて。 」 「僕、行くなんて言ってないからね。 あとで断ろうと思ってたとこ。 」 「ナンデ?!折角の先輩たちのご厚意なんだぞ。 ご厚意!」 厚意…確かここに来る前の、試験勉強で覚えた熟語だな。 覚えたての言葉を使いたがる子供じみた言動に更にイライラが募る。 こんなことなら、試験勉強になんて付き合うんじゃなかった。 「ツッキー…俺のことは気にしないで行っておいでよ。 」 あぁ・・・僕が恐れていた言葉を山口が口にしてしまった。 少し寂しそうに、でも笑顔で僕の為だけを考えている時の表情。 定員のあるイベントに二人で応募して僕だけが当選してしまったとき、僕が誰かに呼び出されて一緒に昼休みを過ごせなくなってしまったとき、山口はいつもこの表情をする。 僕が唯一嫌いな山口の表情。 でも、させているのは僕だ。 さっきだって、誘われてすぐに山口と過ごすから無理だと断っていれば、こんなややこしい事にはならなかったのに。 「あ!なんか山口とどっか行く約束してたのか?」 今更、日向が自分の発言に後悔をしたような表情をするがもう遅い。 こうなると山口はけっこう頑固であることを僕は長年の付き合いから承知している。 「いいんだよ日向。 それより、梟谷の主将たちと遊べる機会なんて貴重なんだから楽しんできて!」 「そっか!じゃぁ、山口もそう言ってくれていることだし行こうぜ月島!」 「僕、本当に行きたくないんだって。 」 さっきまで後悔したような表情をしていた日向が、もう笑っている。 単細胞に腹がたつ。 僕は優待席で見る花火なんかより、音も聞こえないような遠くで山口と二人だけで見る花火の方が良いのに。 それを口に出して言えない自分にも腹が立って僕は黙々と朝食を口に運ぶしかなかった。 結局、僕は第3体育館組と自由時間を共にすることになり、学校を出る前に山口はどうするのか聞こうと思ったが見当たらず、主将に尋ねると少し遠方まで行きたいのでと昼食も食べずに早々に学校を出たと教えてくれた。 山口が立ててくれたプランはどういうものだったのだろう。 結局全て任せた揚句、練習中に他に思考を飛ばすのが嫌で、当日に教えて貰おうなどと思って山口が自由時間の話をしようとする度に、その話題を避けた。 結末がこの有様だ。 今更、メールでどこに行くのか聞くのは、山口の善意を更に傷つける気がしてとてもじゃないけど出来なかった。 そんなことを思いスマホの画面ばかりを見ている僕に赤葦さんが 「月島、本当は烏野の12番の子と過ごしたかったんじゃないのか?」 と目ざとく聞いてきた。 この人の観察眼はうらやましくもあるが怖い。 できるだけ心中を察せられないよう「そんなことないです」と答えた。 [newpage] 「あれ・・・・?影山?」 「山口・・・・月島と一緒じゃないのか?」 「うん。 ツッキーは花火大会行くって。 あ、日向も一緒だから…影山も一人なんだね。 」 「寂しそうだな山口。 」 「え・・・?あれ?表情に出ちゃってる?」 「あぁ・・・俺でも分かるくらいには。 」 それは重症だなぁ・・・と山口は思う。 思えば小学校の頃から月島と二人で行動できるのが当たり前になっていたので、今回のように一人になることはまずなかった。 月島と過ごすようになり、いじめっ子からいじめられる回数は格段に減った。 中学になり平均より身長が高くなった頃には、もう一人でも大丈夫だったかも知れないが、月島の隣が自分の居場所のように思っていたし、月島もそれを許してくれているのが嬉しかった。 「俺、ツッキーに依存しすぎてたかな・・・」 「依存…?」 「頼りきってる…とか、それがないと生きていけないないみたいな意味…。 」 「ふーん…。 どっちかっつーと、俺には月島の方が、お前がいないとダメな感じがするけどな。 」 「そんなわけ…ないよ。 俺、ツッキーに何かしてあげられる事とかないし。 」 「よく分かんねーけど、まぁいいや。 とりあえず、今日は俺と東京見物しろ!」 「?! っていうか、何で命令調なの…?」 「東京見物してください…コラ?」 「それは田中さん口調。 影山って本当にコミュ障な。 フフ・・・良いよ。 行こう。 」 「やっと笑ったな。 」 励まそうとしてくれていたのか。 影山の不器用な優しさに気付き少しだけ気持ちが楽になったような気がした。 「おい・・・スカイツリーって登るだけなのに、金取るのか…。 」 「いや、取るでしょ。 」 「それにしても高すぎるだろ。 」 「まぁ、俺らのこづかいではチョット厳しいね。 いいじゃん。 入口まで来れたんだし。 下から写真撮ってここはおしまいにしよ。 」 スカイツリーへの登頂を今回の自由行動の一番の目的にしていただろう影山は諦めがつかないのか、眉間にしわを寄せてスカイツリーを見上げたまま動かない。 弱ったなと山口は一緒にスカイツリーを見上げる。 「あ・・・いいこと思いついたかも」と一人つぶやき、地面すれすれまでカメラを近づけた山口が「影山」と呼ぶ。 カシャッ! 「うん!上出来!ほら見て。 」 山口の取った写真には、影山のバックに下から見上げたスカイツリーが綺麗に収まっている。 「おぉぉ!すげーな山口!」 回復しつつある影山の機嫌を察し、山口は「もう一回取るから、今度は笑えよ!」と二枚目の写真を撮ったが、ピースサインをするだけで表情はこわばったままの先程と大して変わらない写真が撮れた。 それでも影山自身がとても満足そうにしているので良しとした。 影山も同じアングルで山口を撮ろうとするが、どうしてもツリーの先端が切れてしまう。 悔しがって、道に寝転がってシャッターを切ろうとする影山を「もういいから!」と必死に制止し手を引っ張ってスカイツリーを後にした。 「次どこ行く?」 「あっちに、浅草寺って言う大きい提灯がシンボルのお寺があるみたいだよ。 」 山口の案内で知らぬ土地を迷うことなく進む。 「お前すげーな。 来たことあるみたいだな。 」 「えーそうかな。 かなり調べたから…ツッキー段取り悪いの嫌いだし…ガイドブックとか開いて歩いたら機嫌悪くなりそうだったから。 」 また、少し表情に影が差した山口を見てしまったと影山は思う。 話題が月島に触れるようなものはNGだ。 何か、話題を変えなくては…とバレー以外に使わない脳をフル回転させて辺りを見渡す。 そして目に入ってきた巨大なビルの横を指し、 「おい!山口あれ見ろ!! 巨大うんこ!」 「へ・・・?」 振りかえると、金色のうんこならぬ炎を乗せた建物と泡が溢れそうなビールジョッキをイメージしたビルが並んでいる。 写真を見たときにも思ったけどどう見たって…いやいや有名なデザイナーの設計だって書いてあったし自分たちの感性が都会に馴染ないのだと思い直す。 「あれはね、炎がデザインされてるんだよ。 その横の全面ガラスみたいなビルがビールジョッキをイメージしてるんだって。 」 「おぉ!言われてみれば、ビールだ。 すげーな山口!」 スカイツリーと二つのビルが全てフレームに納まる位置で、二人並んで写真を撮った。 影山が「俺友人とツーショット写真撮ったの初めてだ」など言うものだから、影山が自分を友人として認知してくれていることや、自分と過ごす時間に満足してくれてことを感じ月島との自由時間のためにと一生懸命調べたものだったが、無駄にならなくて良かったなと思い「俺、偶然影山に会えてよかったよ」と、ふわりとした笑顔で山口は言った。 もう少し大丈夫だろうと駄々をこねる影山をどうにか最寄りの駅まで引っ張って行き、電車に乗せた。 ただでさえ学校から離れた場所まで来てしまったうえに乗り換えの回数も多かった。 門限に間に合わなかったりしたら主将やコーチに怒られるし、皆にも迷惑をかけてしまう。 あんなに、帰るのを渋っていた影山だったが電車に乗って座れた途端に船をこぎ始め眠ってしまった。 [newpage] 門限ギリギリに森然高校に着いた影山と山口は、先に祭りから戻っていた第3体育館組を視界に捕らえた。 「おせーぞお前ら!」と駆け寄ってくる日向を待ち構え影山は浅草寺で袋詰めしてきた煙を顔の前でバンッと潰した。 「ゲッホっっ!ゲホっ!何すんだよ影山!」 いきなり煙を吸わされた日向は、涙目で影山に抗議する。 「何してんだ日向ボケぇ!早く吸いこめ!せっかく頭の良くなる煙、寺から持って帰ってやったのに!」 「え?え?え?!早く!早く言えよー!!スーゥッ…あー!!もう煙くねー…」 それでも、日向は一生懸命当りの空気を両手でかき集めて吸いこもうとしている。 「いや…吸うんじゃなくて、浴びれば良いんだってさっき言ったばっかりじゃん…」 と、山口が落胆する。 浅草寺で身体の悪い所や頭に煙をかけると良くなるらしいよと説明したところ、影山は思いっきり香炉に頭を突っ込み煙を吸い込んで、目を真っ赤にして咽かえりながら人だかりから出てきた。 目が開けられないと言われしばらくその場から動けなかったので、ハトに餌をあげながら影山の回復を待っていたのだった。 「浅草寺まで行ったのか。 ずいぶん遠出したんだな。 」 と黒尾が山口に話しかける。 「はい。 一緒に行ったわけじゃなかったんですけど。 偶然、向うで影山に会って。 」 影山は、日向に山口と撮った写真を見せながら、東京観光を満喫した事を自慢げに話している。 「このスカイツリーのアングルいいな!」 横から覗き込んできたリエーフが今度行ったら自分もやろうと、山口の写真の撮り方に関心している。 「それにしても、影山は下手だなぁ。 山口の写真全部タワーの先端切れちゃってんじゃねーか」 と、からかう日向に対し、「これは山口の身体が柔らかいからできるんだ」と地面に寝転がるのを山口に止められた話や、一人だったらスカイツリーに登れなくてイラついて帰るだけなところだった話をした。 「日本一高いタワーは登れなかったけど、山口のお陰で日本一デカイうんこと日本一デカイ提灯が見れた。 」と更に写真をスクロールさせ、日向はスゲースゲーと繰り返す。 「いや…だから、あれはうんこじゃないし、提灯も日本一の大きさかどうかは分からないって何度も言ってんのに…。 」 山口は眉を下げて困ったなと影山を見る。 「王様の頭の悪さは、浅草寺の煙くらいじゃ治らないんじゃない?」 皮肉たっぷりのいつもの調子で、月島が言う。 「あー…?おかしいな。 言ってたか?」 山口を振りかえる影山を見て日向が目を丸くして固まる。 「え・・?おまえ怒んねーの?」 「あ?なんでだ?」 「だって、いつものお前なら今月島と喧嘩してるだろ・・・? 」 「そうか?」と影山は後頭部を押さえ首を傾げる。 「今日山口と半日いたら、俺と全然考え方が違ってて、胸ん中スーッとしてイライラしねー。 」 影山であれば頭に来て投げてしまうようなことを、山口は違う角度から打開策を見つけて妥協点を探してくれる。 怒りの沸点が全然違うというか…山口は怒ったりすることがあるんだろうかなどと帰りの電車の中虚ろな意識の中で影山は考えていた。 「あ!そうだ月島。 お前もっと山口を大事にしろよな。 」 「はぁー?!なんで王様にそんな事言われなきゃいけないの?」 「俺なら山口にあんな顔させない。 」 「かげ…影山何言ってんの?やめてよッ!」 何を言い出すのかと思えば、影山の爆弾発言に山口は動揺を隠せない。 このままじゃ、自由行動を共に出来なかったことに落ち込んでいたことも月島に喋ってしまうのではないかとヒヤヒヤして影山に早く食堂に行って夕食を食べようと後ろに廻り両肩を押して促す。 黒尾と木兎は「学園ドラマか?!」と囃したてる。 冗談じゃない。 こういう絡まれ方は月島もっとも嫌がるパターンだと山口は長年の付き合いから熟知している。 どうにか、この事態を収拾しなければと顔を真っ青にして思考を巡らす。 その時、2年の西谷・田中が「オーイ」と駆け寄ってきて「メンテナンス終わったから、体育館使っても良いってよ!」と魔法の言葉を持って現れた。 『マジか?!』 日向、黒尾、木兎のバレーバカ一同は西谷の後を追いかけて体育館へ走って行き、あっという間に見えなくなっていった。 「おい山口!俺らも飯食ってすぐ体育館行くぞ!」 今度は逆に影山が山口の肩を押す。 「あ!うん。 」 返事をし、山口は事態の収拾にホッと安堵のため息をついた。 「あ…ツッキー。 ごめんね。 これ、良かったら向うで売ってた焼き菓子。 本当はショートケーキ買いたかったんだけど、潰れちゃうといけないから。 」 遠慮がちに紙袋を差し出す山口を見つめて動かない月島を、山口は不思議そう見つめ返し「ツッキー…?」と首を傾げる。 名前を呼ばれハッと月島は正気を取り戻す。 「アリガト…。 」 「ツッキーは花火大会楽しかった…?」 「まぁ…それなりには…」 「おーーーーい!!月島!!早く来いって黒尾さんたちが呼んでるぞ!」 廊下の端の方から、日向の大きな声が響く。 迷惑そうに顔をゆがめて日向の方を向く月島に対し、「ごめんね。 引きとめて。 練習頑張って。 」と山口は手を振って見送った。 [newpage] 山口に今日の自由行動の事を…いや…その前からだ…山口が一生懸命計画を練ってくれているのを分かっていたのに、自分が浮き足立たないでいられるためだけに、話を聞かなかった事をちゃんと謝りたかった。 どう切りだそうか悩んでいるところに、山口が土産だと言って袋を差し出してきた。 土産なんて買ってもらえる立場じゃないのに。 ますますどう謝れば良いのか分からなくなって、ただただ山口を見つめている内に、ろくな会話もできないまま召集がかかってしまった。 『山口をもっと大事にしろ。 俺ならあんな顔させない』 影山に言われた言葉が頭の中でリフレインして自主練は全然集中できず、木兎と日向は調子に乗らせるし黒尾には怒鳴らるし散々だった。 自分が気にしていたことを、まさか影山に指摘されるなんて思ってもみなかった。 しかも山口の前で。 影山がそう思うに至ったのは、山口が影山に何か言ったのだろうか?あんな顔ってどんな顔だ?今日長い時間二人で一緒に過ごして、影山が山口に対して自分と同じ気持ちを抱くようになったのではないか。 焦りと反省と不安で月島は一刻も早く山口に会いたかった。 練習後急いで、烏野用にと宛がわれている部屋に戻っても山口はおらず、風呂場へ行っても見当たらない。 仕方なく風呂を済ませ部屋に戻ると、影山がまた日向や先程いなかった部員にも今日の写真を見せているらしく、日向が影山からスマホを奪い写真をスクロールさせながら「いいな。 いいな。 」と連呼している。 イイナなんて僕の方が数百倍思っているというのに、なんで僕はそれを口に出せないんだろう。 「今度の自由行動は俺も連れて行ってくれよな!」 目を輝かせながら頼む日向に対して、影山が「駄目だ!」と返し「なんでだよー!!」と食い下がる。 「今日のコースは教えてやるから月島とでも行け。 俺は、山口がまだ何パターンか考えてくれてるからそっちに行く。 」 「ずりーぞ!!」 日向が「俺も連れて行け」と影山に飛びかかってねだるので、いつもの取っ組み合いが始まり周囲が止めようと慌て出す。 「今回は、たまたま合同練習と体育館のメンテが重なっただけだべ?次の合宿の時は自由時間があるとは限らないんだから。 」 菅原が日向を影山から引き離し落ち着けと頭を撫でる。 「日向は花火綺麗だったんだからいいだろ?」 宥める様子をみながら、月島は、山口が今日の自由時間の為に何通りも自分と過ごすコースを考えていてくれたことを知り愕然とした。 だから、僕が話題をそらしても何度も今回の自由行動の話をしようとしていたのか…と。 やはり、今日中に山口に謝りたい。 月島はちょうどよく先程の一件に関わっていない東峰を見つけたので山口を知らないか尋ねると咽喉が渇いたと言って下の階の自販機に行ったと教えてくれた。 「でも、行ってからけっこう経ったな…。 もしかしたら夕涼みにでも出かけてるのかも知れないぞ。 」 どおりで見つからない訳だと、舌打ちをしてしまったため、東峰が何かまずい事を言ってしまったかと、こちらを心配そうにみているので「教えてくれてありがとうございます」とだけ告げ、とりあえず下の階へ行ってみることにした。 [newpage] ドリンクを買いに下の階へ降りた山口は、校舎裏の森へ続く道を見つけ、なんとなく部屋に戻りたくなかったこともあり興味本位で奥へ進んでみることにした。 今日は、なんだかとても疲れた。 遠出をした事よりも、月島と別々の自由行動になってしまった気持ちの急降下や、予期せぬ影山の発言。 肉体の疲労よりも気持ちの疲労の方がはるかに勝っていた。 森の中を歩いて、一人になれラッキーだった。 あのまま部屋に戻っても上手く話をしたり笑ったりすることができる気がしなかった。 森を歩きながら、山口は今日影山と話した内容を思い返す。 普段あまり話しをすることもないが、二人で行動したこともあり、部活が始まって以来初めてというくらい、お互いの事をよく話した。 影山は本当にバレーが好きで、生活の最優先がバレー、何もかもがバレーの為だと言っていた。 「お前の1番はなんだ?」と尋ねられ、「ツッキー」と答えようとしてビッシャと冷水をかけられたような気分になり言葉を飲み込んだ…。 答えは明瞭…でも気付いてはいけない。 気付かれてもいけない。 そんなこと答えようものなら、月島はきっととても不快に思う。 迷惑はかけたくない。 隣にいることを許してもらえるだけで充分なんだから。 「俺も…バレーが一番かな。 」 月島と自分を繋いでくれたバレーは掛け替えのないものだ。 嘘は付いていないと山口は自分を納得させた。 山口の返答を聞いた影山は「ジャンプフローター、すげー頑張って練習してるもんな!」と満足そうに答えてくれた。 しばらく歩くと水の音が聞こえた。 山口は音のする方、更に奥へと歩いて行くと黄色い光が目の前を横切った。 「ヒィッ」 と小さい悲鳴を上げる。 横切った光は、フワフワと中を漂うと奥へ消えて行った。 何…今の?しばらく立ちつくしていると、再びフワフワフワと黄色い光がこちらへ向かってくる。 1つ…2つ…3つ…。 「ホタル…?」 正体が分かればなんてことはない。 都会にもホタルがいるのかと光が消えた奥の方へ山口は走った。 すると、 「わあぁぁぁぁ!すごい!!」 宮城でもなかなか見ることができない数のホタルが、あちらこちらで光を灯している。 今の自分を慰めてくれるような優しい光。 山口は就寝時間のギリギリまでここにいようと決め、小川のほとりに腰を下ろした。 じっと光を見ていると数匹が山口の周りを飛び始め、いつの間にか山口はホタルに囲まれていた。 「お前たちは、俺のそばにいてくれるんだね…。 」 [newpage] 結局、昨夜月島は山口を見つけることができず、就寝時間ギリギリに部屋に戻ってきた山口に話しかける暇もなく電気が消されてしまった。 1日が始まれば、常に部員や他校生に囲まれて、二人で話す時間なんてないようなものだ。 休憩、食事の時間さえ誰かしらが絡んでくるし、あまり時間を置かずに昨日の件を謝りたいのにタイミングを逸してばかりなことに月島は苛立ちを隠せなくなっていた。 「月島、いつも以上に感じ悪いぞ!」 日向が両方頬を食べ物いっぱいにして話しかけてくる。 「喋るか、食べるかどっちかにしなよ。 」 冷ややかに視線だけ向け返せば、日向は迷わず食べる方を選んだ。 「ツッキー夏バテ?」 「いや、そんなことないと思うけど…。 ねぇ山口昨日夜どこ行ってたの?」 「え…?夜?」 「部屋戻ってくるの遅かったよね?」 「あ…ホタルをね。 見つけたんだ。 それ見てて…」 「ホタル?どこで見つけたの?」 「あー。 森の奥の小川だろ?」 会話を聞いていた、黒尾が月島の横の席に座りながら「今年はまだ見に行ってないな」と孤爪に話しかける。 「いいよ。 虫多いし…暑いし…」 「こうゆうのは夏の風物詩だから見ておいたほうが良いんだよ。 宮城じゃホタルは珍しくないか?」 まさか、黒尾が自分に話しかけてくると思わなかった山口は慌ててしまう。 「いえッ。 宮城でもあれだけの数はなかなか見れないと思います。 」 少し声が裏返ってしまった。 「そんなに緊張しないでよ。 昨日はごめんな。 ツッキーと自由時間一緒に過ごす約束してたんだってな。 日向に聞いたよ。 」 「あ…いえ。 大丈夫です!」 胸の前で両手を振って気にしないでくれと必死に黒尾に伝える。 「なぁーホタルってなんの話だ?」 食器を全て空にした、日向が会話に加わろうとテーブルに身を乗り出してきた。 山口は昨日見つけたホタルの話を聞かせると、口角を引き上げ目をキラキラさせながら、「今日の夜皆で見に行こぜ!」と言い出し「俺、キャプテンたちに伝えてくる!!」と言って、まだ部屋で支度をしているだろう3年生たちのところへ走って行ってしまった。 「本当に元気だな。 お宅のチビちゃんは。 」 あきれた様子の黒尾に対して、眉尻を下げて「はい…」と山口は返す。 一方月島は、今の会話のせいで夜も集団行動になってしまい、また山口とゆっくり話す時間がもてないことが明らかになり、眉間のしわが深くなるばかりである。 その眉間に人差し指をグリグリと押しつけ「イケ面が台無しだぞ」と笑う黒尾に対し、「やめてください」と手を払い首を背けた。 他行の先輩と戯れる月島を見ながら、やっぱりツッキーは人を引き付ける魅力をもってるなぁと嬉しく思う反面、寂しさは誤魔化しきれない。 月島の隣はもう自分の居場所ではないのかもしれないと自嘲気味な笑みをたたえ「ツッキー、俺先に部屋戻ってるね。 」と言って食堂を後にした。 「あれ…?俺やっちゃったかな…?」 「何をですか?っていうか、離してくださいって何度言ったら分かるんですか!」 月島は、再度眉間に触れてきた黒尾の手を先程よりも強い力でグっと押し返した。 「いやツッキーと山口君の貴重なお喋りタイム邪魔しちゃったかなって。 」 「あいつは、そういうの気にする奴じゃないんで。 」 「貴重なお喋りタイムは否定しないんだ…?」 ニヤニヤと楽しそうにこちらの様子を窺う黒尾に対し、月島はイライラしすぎて冷静な返答ができなかった事を後悔してチッと舌打ちをする。 「優しい子だね…山口君。 人を寄せ付けないツッキーが山口君を傍に置いておく理由がなんとなく分かった気がするわ。 」 既に山口が出て行ってしまった食堂の出入り口を眺めながら黒尾がつぶやく。 「からかって悪かったって!早く部屋戻ってやんな。 」 いつの間にか食べ終わっていた黒尾も席を立ち、うるさかったテーブルは自分一人になってしまった。 時計を見ると練習開始まで20分弱…。 今から急いで部屋へ戻っても山口と話をする時間はない。 話はまた夜…ホタルを見に行きながらにでもしようと思いながら残りの朝食を口に運んだ。 [newpage] 夜、監督たちの了解を得てホタルを見るため昇降口に集合していた。 「敷地内とはいえ、森ですし暗いので、充分気をつけてくださいね!」 心配性な顧問の武田が再三注意を口にしていた。 本当は着いて行きたいところなのだろうが、猫又監督との親交を深める飲み会が今夜もあるようで、こちらに来ることは難しいらしい。 「暴走しそうなヤツらには監視をちゃんとつけてるんで安心してください。 」 澤村が言いながら振りかえると、田中・西谷のTシャツの裾を掴んだ縁下が「任せてください」と不敵な笑みを浮かべていた。 山口は、日向・影山の面倒を頼まれてしまっているのだろうかと思い、グルグルっと周囲を見渡すが、山口の姿が見えない。 日向・影山は3年生が直々に監視するようで、既に何かやらかしたのか菅原と旭に怒られているのが見えた。 「月島…もしかして12番の子捜してる?」 僕の様子を見ていたのか、赤葦さんが話しかけてきた。 「あ…いや……はい。 知ってるんですか?」 また考えを見透かされ肯定するのも悔しかったが、この人は害が無さそうなので山口の居場所を知っているのなら、教えて貰った方が賢い選択だと判断した。 「ホタルさ…二ヶ所見れるとこあるんだよね。 彼はたぶん…今から皆で行く方じゃなくて、もう一ヶ所の方にいる気がする。 」 確信めいた赤葦の口調に、何で付き合いの長い自分が分からない山口の行動をこの人が分かるのだろうと、疑問や猜疑心や不満に思う気持ちがが月島の心を占拠していく。 「山口が森に入ってい行くの見たんですか…?」 一番しっくりくる答えを口にしてみるが、赤葦は首を横に振り「勘」だと言った。 「絶対とまでは言えないから…まぁ、信じる信じないは月島に任せるよ。 」 そう言って、赤葦は木兎らの輪の中に戻ってしまった。 集合時間になっても結局、山口は現れなかった。 連日の疲れもあるので強制参加では無かったため部屋で過ごす事を選んだ者もいた。 山口は昨日もホタルは見ているし、そちらを選択したのだろうと判断され、参加していないことを騒がれることはなかった。 でも月島は山口が部屋にはいないことを知っているし、自主練に移る前にホタルを見に行くのか確認したら行くと言っていた。 「赤葦さん…ちょっと良いですか?」 梟谷グループの輪の中から、赤葦を呼びとめ騒ぎそうな木兎から少し離れたところで「さっき言ってたもう一ヶ所の場所、教えてもらえませんか?」と尋ねると、赤葦はにっこり笑ってその場所を教えてくれた。 [newpage] 集合時間より早く校舎を出た山口は、部員たちがホタルを見に行くだろう小川から少し離れた下流で、木に寄りかかりながら水面で飛び交うホタルを見ていた。 ここは昨夜、校舎に帰える途中で見つけた場所だった。 数は少ないがここにも数匹ホタルを見ることができる。 皆も恐らく帰り道は来た道を引き返すより、此方へくる可能性が高いだろう。 皆がこの場所に着くまでに、自分はいつもの調子に戻れるだろうか…。 合同練習のあと月島にホタルを見に行くのか尋ねられ「行く」と言ってしまったが、一人になりたい気分だった山口は、部屋に残ることもできず、勘違いして皆と違う場所へホタルを見に行ってしまった事にしようと思いついての行動だった。 皆が来たら用意しておいた台詞を上手に言おう…そんなことを考えていると、微かにバレー部員たちの笑い声が聞こえることに気づき、皆も小川にたどり着いたんだなと山口は思った。 「お前たちも人気ものだね。 」 山口は自分の肩に止まったホタルに視線を落としながらつぶやいた。 「お前たちって…もしかして僕も含まれてたりする?」 思いがけない月島の姿を捉えた山口の目は、一瞬驚きに見開いたが、すぐに視線は力なく空を彷徨った後、水面に戻された。 「ツッキー…一人なの?」 「それはコッチのセリフでしょ?」 片眉を上げながら近づき山口との距離を縮めてくる月島に対し、山口はどうにも落ち着かない気分に襲われる。 二人きりなんて、今までいくらもあったのに…。 「赤葦さんの話聞いたら、お前此方にいるんじゃないかと思って…。 お前さ…もしかして僕のこと避けてる?」 「え…?避けてないよ!」 慌てて否定する山口に対し、更に月島が距離を詰め言葉を続ける。 「じゃぁ何でこんな所にいるのさ?」 避けたりはしていないと思う。 ただ月島の隣が自分の居場所ではなくなってしまった気がして、自分がいたら月島のせっかくバレーに対して前向きになった気持ちを邪魔してしまう気がして、距離を置いて見ていようと思っただけ。 山口は用意していた言い訳を心の中で反芻してから月島に言った。 「皆…下駄箱のトコいなかったから先に行ったのかと思って…。 でもここ来たら誰もいなくてさ。 此処じゃなかったのかな?」 へらっと笑いながら言ってみる。 上出来じゃないか。 「そんな嘘に僕が気付かないとおもうの?」 冷静な月島の声が返ってくる。 どうしたら良いのか…なんと返したら良いのか…山口はヘラリと笑った口元のまま固まってしまう。 「う……そ…じゃないよ?」 バレたときの事など考えていなかったうえ、元より嘘をつく事にもなれていない。 ましてや月島に対して嘘をついたことなど思い返す限りあるわけなかった。 「怒るよ……?」 少しトーンの下がった月島の声から、コレは既に怒りを含んだものだと察する。 ただ少し1人になりたかっただけなのに、その結果が月島の怒りをかうことになるなんて。 「ごめん……ツッキー…。 」 うつむいて謝る山口を見て、またやってしまったと月島は悔やんだ。 『俺なら山口にあんな顔させない』と言った影山の言葉が甦る。 山口は次の言葉が見つからず下を向いたままである。 「あーーーーーーーーーそうじゃなくてさ!」 いつもより少し大きな声を出した月島に、ビクッと肩を震わせた後おびえた様子で上目遣いに月島を見てくる山口が可愛い過ぎて思考がトリップしてしまいそうになる。 「・・・僕の方がごめん。 自由行動…僕が、ハッキリと山口と約束があるって言えばあんなことにならなかったのに。 」 「え…?いいんだよツッキー。 せっかく強豪校のキャプテンたちに気に入られてるんだから仲良くしなきゃ!」 「いや、仲良くしようとは思ってない…」 「そんなこと言って!黒尾さんも木兎さんも凄くツッキーのこと可愛がってくれてるじゃん!俺嬉しいんだよ。 ツッキーがバレーに対して前向きになってくれて。 ただね…」 「ただ…?」 「うーん…。 何でもない!俺身体冷えてきちゃったらか、そろそろ部屋に戻るね。 」 強引に会話を打ち切って校舎へ戻ろうとする山口の手を咄嗟に掴んで引き留める。 山口は不思議そうな顔で月島を見つめてくる。 「ただ…何?」 目を合わせて、少し威圧するように迫れば、山口が月島に逆らうことはできない。 これは長年の習性。 卑怯だとは思いながらも、どうしても山口の考えている事を知りたかった。 「…ただね…ツッキーをバレーに対して前向きに変えたのが俺じゃないって言うのがチョット…チョットだけね、悔しいなって思ったんだ…。 」 「え…?」 自分にバレーと向き合えと言ったのは、山口じゃないか。 僕のやる事は全て絶賛のお前が、僕をカッコ悪いって…僕の胸ぐらを掴んだお前の手が震えていたこと当然気づいてた。 僕を神聖視する傾向がある山口が僕を否定することがどれだけ勇気がいることだったか…。 「ごめんね!俺が今ツッキーにできることは邪魔しないで見守ることくらいだけど、いつかはツッキーの力になれるよう…に……」 泣きそうなのを堪えているのか、山口の声からどんどん力がなくなっていく。 「僕ね…お前がこんなに僕のそばにいないこと今までなかったから、調子狂う。 」 「うん…。 俺も…。 」 月島が山口の手を更に強く握り直した。 そういえば手を繋ぐなんて何年ぶりだろう。 繋いだまましばらく一緒にホタルを眺めていると先ほどホタルが近付いて山口と繋いでいる月島の手に止まった。 月島がその手を上にあげたので、名残惜しいと思いながらも山口は繋いだ手を離しストンと下ろした。 「山口…僕、今メンタルそうとうキてるから、絶対突き飛ばしたりしないでね。 」 「突き飛ばす…?俺が?ツッキーを?…………そんな事するわけないじゃん。 」 何故そんな事を言うのか不思議に思った山口が月島を見上げると、少し苦しそうな表情をした月島が再び山口の手を取り腕を強く引き胸に抱き寄せた。 肩に顎を乗せ、背中に手をまわし二人の空間を物理的に埋めていく。 自分と距離を置こうとしている山口の心を繋ぎとめたくて衝動を抑えることができなかった。 「え?え?え?ツッキー?」 「うるさい山口!」 「あ…ごめんツッキー。 」 僕から離れて行かないで!言葉にできない気持ちが伝わるように、すれ違っていた時間を埋めるように更に腕に力を込める。 ダメだ……全然たりない。 ここがどこなのかとか、いつ誰が来るか分からないとか、いつもの自分であれば決してしないような行動だと頭では分かっているのに、1度始めてしまった『山口』の補給は止まらない。 「お…重いよツッキー。 」という山口の言葉を無視して山口の身体へ更に体重をかけて膝を折らせ、その場に座らせて後ろから抱きしめた。 昔はこうして、テレビとか見てたことあったな…明光君にからかわれて止めちゃったんだっけ…と背中に感じる月島の体温と匂いに懐かしさといとおしさが込み上げて山口は涙腺が緩むのを感じた。 肩に置かれた月島の顔が離れたと思った瞬間、更にギュッと抱き締められて、首筋を嘗められて吸い付かれ驚きに涙も引っ込んでしまう。 「えええええっ?!ツツツツツッキー!!!」 「ホントにうるさい山口…」 首に吸い付くのをやめないまま…戒められ「ごめんツッキー………」といつもの返し文句が口を打つ。 でもこの状態は……確かに、『ツッキー不足』だと感じてはいた山口だが、こんな急速充電されたらオーバーヒートしてしまう。 戸惑いと焦りと、恥ずかしさで. …パニックを起こしている。 首筋に舌が這い、耳の縁をなぞられる。 羽交い締めにされているので身体を捩ろうとしても、びくともしないどころか抱き締められる腕の力は増すばかり。 耳のなかに舌を入れられ、直接送り込まれる息使いや水音に背筋がゾクゾクして変な声が上がってしまいそうだ。 体を丸めて必死に月島の舌から逃げようとするが、今度は腹に回されていた片手がTシャツの中に滑り込んでくる。 「ツッキー、やぁ………」 山口はついに抗議の声をあげてしまうが、月島は今度は怒るどころか、「山口かわいい……」と腰も密着させてくる。 なんか当たってるし! 何がどーなってるの?! パニック状態の山口を追い詰めるかのように、遠くにいるはずだった部員達の声が徐々にはっきりと聞こえるようになってきた。 「ツッキーみんながこっち来る!!」 「もーすこし…」 「ええ!?駄目だよ!!ツッキー離して!」 どんどん近づく部員達の声に焦り、山口は自分を羽交い締めにする月島を振りほどこうと、力付くで立ち上がる。 その瞬間……………二人してバランスを崩し、川に落ちてしまった。 バッシャーン!!!!!! 「山口…………」 「ごめんツッキー!!」 川に落ちた音を聞きつけ駆け寄ってきた部員達は、思いがけないものを目にして固まる。 そして次の瞬間、森の中を爆笑がこだました。 「お前ら…」 「日向と影山なら分かるけど…」 澤村と菅原に呆れられながらも川から引き揚げてもらい、ずぶ濡れになってしまった月島と山口はシャツやズボンの裾を絞り少しでも衣類を軽くしようとした。 月島の背後から黒尾と木兎がニヤニヤしながら近づいてくる。 「ツッキー、山口くんにエッチなことしようとして突き飛ばされたんじゃないの?」 ここで「そうですけど」と返したら、この人達はどういう反応を示すのだろう…。 言ってみたい気はするが、後で山口が悩んだり、口を聞いてくれなくなってしまっては困るので押しとどまった。 また、厄介なメンツに囲まれてしまった。 この人達とはブロック練だけがしたいのに。 まぁ、いいか。 校舎に戻れば風呂場へ直行だ。 他の部員は既に風呂を済ませているだろうし、また二人きり。 ニヤけそうになる口許を手で覆い、また山口の補給をさせてもらおうと前を歩く山口の背中を見つめた。

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落合渉 インタビュー

君 が 隣 に いる こと が いつか 当たり前 に なっ て さ

落合渉 君が隣にいることいつか当たり前になってさ(Music Video) 作詞・作曲:落合渉 出演:八澤侑里香 編曲:中村純一 監督:落合渉 「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」収録の最新アルバム「ノンフィクション 」配信開始! 各サイトからのダウンロードはこちら。 CDのご購入・その他お問い合わせは各SNSのメッセージ又は、お問い合わせメール(ochiaiwataru. info gmail. com)まで。 浴衣と花火(Music Video ver. ticket gmail. ノンフィクション M2. 東京 M3. ほしいもの M4. 君が隣にいることいつか当たり前になってさ M5. 一人暮らし M6. 傘 M7. 五月の手紙 M8. SMILE M9. 生きているということ 3,000(Tax in) 【落合渉オフィシャルHP】.

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